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執筆者の写真WeatherDataScience

手強い忍者雲?

2020年元旦。今年はレインボーブリッジから初日の出を見ようと、寒風を切って出かけて行きました。冬晴れの空の中、鮮やかに彩る初日の出を期待していたのですが…雲の陰に入ってしまいました。残念!

真ん中の塔のような建物あたりから太陽が出てくる見込みでした…


さて今冬は冬晴れの天気予報だったにもかかわらず、東京湾岸や房総半島など南部では雲が広がってしまうことが多い気がしています。


例えば2019年12月27日のケース。発達した低気圧が関東の東に抜けたあと、冬型の気圧配置で快晴になる予報が出ていましたが、昼前くらいから雲が広がって日差しがなくなってしまいました。




12時の衛星画像です。低気圧の後ろに尻尾のように伸びる雲域が東京湾岸や房総半島に掛かっていることがわかります。








同じく12時の天気図には、関東南岸あたりに意味深な等圧線が描かれています。こういった凹みは風の収束線を表していることがあります。










アメダス観測図で風向風速を見ると、伊豆半島・房総半島間で風の収束が起きているように見えます。

その後、昼過ぎくらいから北風の強まりとともにだんだん晴れていきました。





このケースは低気圧後面にできた風の収束線が雲を広げていましたが、いわゆる冬型の気圧配置の時も関東の南沖で風の収束線が形成され、南部中心に雲が広がってしまう場合があり、房総不連続線と呼ばれることがあります。


この収束線は北側と西側を山地で囲まれた関東の特殊な地形に起因しており、東北方面から吹きおりてくる北寄りの風と、山岳地帯を迂回して東海方面から吹いてくる西寄りの風が関東の南沖で収束することで形成されます。このとき上空の風が南成分を持っていると、雲域が北へ広がり、房総半島や東京湾まで曇らせてしまう場合があります。


ひどい時には東京は晴れているのに、房総半島だけ雲がかかって房総内陸部は雪も降っちゃう、なんてこともあります。


この収束線による雲、衛星画像がまだ運用されていなかった頃は、不意に曇ってしまう様子を忍者にたとえて「忍者雲」と呼ばれたりもしました。今年は手強い忍者が多いのでしょうか、この不連続線による曇りを予報できていないことが多いように思います。


加藤芳樹

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