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気象ビジネスフォーラムに登壇いたしました

最終更新: 2月16日


2020年2月4日、気象ビジネス推進コンソーシアム(WXBC)主催『第4回気象ビジネスフォーラム』トークセッションに登壇させていただきました。

事の成行きは去年9月のこと。

私たちはまだホームページも持たず、FacebookページとTwitterのみで細々と発信していたのですが、これをWXBC運営の方に見つけていただき、意見交換のお誘いをいただきました。


その後、気象庁のお二人と面会し、気象データアナリストのスキル要件について意見交換をさせていただきました。その中で気象ビジネスフォーラムでのプレゼンについてご提案いただき「ぜひ!」ということから至った話なのでした。



さて、トークセッションでプレゼンさせていただいた『不確実性のマネジメント』については、2月5日にアップしたブログに解説を譲り、当エントリーでは、トークセッションで話そうと思ってコメントを準備していたけど、話すことができなかったことについて、その背景等も合わせながらこの場でお伝えしたいと思います。

  • 私たちの活動の経緯について

「気象予報士は難易度に対して割に合わない資格・一番食えない資格」とずっと言われ続け、それが図星であることに得も言えぬ感情を持っていることは、きっと全ての気象予報士ホルダーの方々と共有できることかと思います。

私もかつて「スペシャリストでなくゼネラリストたるべき」と言われ複雑な思いながらも、確かに気象メインで稼ぎに直結する新規事業を創案することができず、ゼネラリストとして振る舞うしか仕方ないと努めていたこともありました。


それから月日が流れ、クラウド時代の到来。

それまで気象会社に所属し、会社の圧倒的なデータ処理リソースの下でしか気象ビジネスに関わることができなかったのが、AWS等のサービスを活用して個人でも気象ビジネスができる環境が整ってきました。

そしてちょうどこの頃、太陽光発電予測開発について個人的に相談を受けたりすることもあり、どの業界どの会社にもちょっとずつ気象マターの課題があるけど、気象会社に頼むほど内容も取引額も大きくなく、気象予報士を雇うほどでもない、小さな気象ニーズを持っているということが分かってきました。


このような時代の変化と小さな気象ニーズの存在にもどかしい思いをしていた時、データサイエンスというものを知り「これだ!」と確信。“気象×データサイエンス”をやっていこうと賭け、現在に至ります。

今後も2人事業らしい軽いフットワークで、クライアントが抱える小さな気象ニーズを拾いながら社会に貢献できる働きができればと思っています。




  • 気象データアナリストに必要なスキル要件は?

“気象データアナリスト”だけに“気象ドメイン知識”はまず必須かと思います。

気象データは、晴れや雨等の定性的な天気予報データ/数値予報GPV/ガイダンス/アメダス観測値/気象衛星データ/過去の実況値/平年値…etc.バラエティに富んでいます。これらのデータの扱い方や特性を知っていること、それに加えて気象現象の理解があればデータの解釈が深まります。

また、気象データを活用するにあたり、予報業務ではもちろん、調査やアルゴリズム開発においても、分析・調査対象データと気象データとの空間スケールと時間スケールを一致させることが重要です。


つまり、気象が関わる調査・分析・開発に対して、多様なデータから気象状態とその時間・空間スケールを考慮しながら最適なものをピックアップするということに関して、気象ドメイン知識が必要と考えています。


次に大事なスキルは“業界ドメイン知識”だと思います。

私たちはエネルギー業界と航空業界と気象業界での実務経験があるので、それぞれの現場の課題について話を聴かせていただければ、その状況を当事者性を持ってイメージを共有することができると思います。

逆に経験したことのない業界については、外から勉強できないことはないものの、やはり究極的にはその業界で働かないと身に付かないものであると考えています。


そして3つ目のスキルとして“統計学や機械学習の知識”もあれば、出来ることの幅がかなり広がるのではないでしょうか。


ところで、業界ドメイン知識については、各業界に散らばっている気象予報士をその業界の気象データアナリストとして活用するのが合理的ではないかと思います。

例えば、WXBCを介して、小売業で働く気象予報士、運輸業で働く気象予報士、観光業で働く気象予報士等、異業種の気象予報士同士でネットワークを作り、お互いの知見をシェアしたりする場があれば、そこから何か面白い掛け合わせビジネスが発生するかもと考えてます。




  • WeatherDataScienceとして今後どのように活動を展開していきたいか?

2人事業らしい柔軟性を持って、クライアント様の事業環境をよく観察して目線を合わせながら、気象サービスの先にある、売上の向上だったり、ロスの最少化だったり、行動誘導だったり等、本来のゴールを探り、その達成を、気象アプローチでやっていくような仕事ができればいいなと思っています。


具体的には、気象サービスやプロダクトのご提供と共に、気象予測の不確実性をマネジメントする方向での丁寧なコミュニケーションもしながら、気象サービス以外の付加価値も合わせてご提供することを意識して活動を展開していきたいです。




  • 10年先20年先を見据えてメッセージ or 個人の意見

芳樹>

お天気キャスター以外でも、気象予報士が個人で活躍できる場を発掘していきたいと常々思っていますが、AI×気象はその可能性が大きいと思って活動しています。


近年、気象の数値予報の精度は非常に上がっており、今後も更に上がっていくと期待しているものの、天気(晴れ曇りなど)の予報には今後もガイダンスが使われていくと思います。

精度が上がった数値予報をソリューションとして使ったり、プロダクト化して社会で役立てるには、気象の専門家人材や、ツールとしてのAI・データサイエンスが必要になると思うので、自身も個人の気象予報士・データサイエンティストとして活動の幅を広げていきたいと思います。


不確実性のマネジメントの論文著者である、冨山芳幸さんの別の論文を見ていると、20年以上前の海外論文で気象情報の価値や、ビジネスでの有用度を議論した論文を引用していて、海外特にアメリカの気象ビジネスは想像以上に進んでいると感じます。

アメリカの気象関係の知人と話すと、研究者でなくとも気象に携わる者というニュアンスで、自身をMeteorologistと呼び、社会的に職業として地位が確立され、誇りを持っているように感じます。

それに比べると、日本の気象ビジネスや気象予報士の地位は20年以上遅れているのかもしれないと感じていますが、WXBCの中から成功事例をたくさん作って、今後挽回していければと思っています。



史葉>

10年後20年後にはどこの会社にも『顧問気象予報士』という役割があるのが当たり前の文化を創っていきたいです。


実際に最近は、当フォーラム登壇の告知やクラファンの宣伝で私たちの存在の認知が広がる機会をいただき、これの効果として、いくつかの会社様からちょっとした相談とか、気象の実務経験があれば割とクイックに答えて差し上げられる質問とかをいただくようになりました。

これはつまり、例えば、法曹界の方々からすれば私のような法律のど素人の法律に関する疑問とかに対して、業界のドメイン知識でパッと答えられる世界があるかと思いますが、これの気象バージョンを最近経験しているのかもと考えています。

この状況をもっと分析して、ちょっとだけ気象のことを相談したいとか、小さな気象ニーズとかを顧問気象予報士として応えていって、実績を作っていければと思います。

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