• WeatherDataScience

冬の東京の気温予想大外れと電力需要予測の話

テレビのお天気コーナーでも話題になっていた通り、2020年1月8日の東京の天気は非常に興味深いものでした。


事前の天気予報では日本海で低気圧が発達し、東京へは南寄りの強風が吹き込んで気温も上がり、春の嵐の様相となる予報でした。記憶が曖昧ですが、確か最高気温15〜17度くらいの予報でした。


しかしながら実際には気温は7.6度までしか上がらず、予報は約7〜9度も高め外しとなってしまいました。南寄りの強風もなく、普通に真冬の寒い1日となりました。


予報が大きく外れてしまった原因は、関東平野に強固な冷気だまりが形成されて居座ったためと考えられます。このパターンは珍しいものではなく、毎冬何回かは発生する予報を外しやすいパターンです。


8日午前9時の天気図です。日本海上の低気圧は中心気圧986hPaと発達しております。


赤い円の部分を見ると、等圧線が低気圧側に凸に膨らんでいます。これは関東平野部に冷気がたまって気圧が上がったためと考えられます。







午前10時のアメダス気温とアメダス風の分布を見ると面白いです。

関東平野は広く北寄りの風で広く5度以下なのに対し、房総南端や大島などは南西風が強くて気温も17度前後まで上がっています。北寄りの風と南寄りの風の境界では、10度近い温度差があります。


近年の精度向上が目覚ましいスパコンによる数値予報でも、以前から関東平野の冷気層を過小に予測する傾向があるので、今回もそれが予報の大外れの一因となったと推測します。

テレビではお天気キャスターが謝ってましたが、いやいや、このパターンを人である気象予報士が可能性は想定はできても、定量的に完璧な修正をして予報を出すのは至難の技です。


あえて言うと「南風強まって春のように気温が上がる予想ですが、この南風が届かないと真冬の寒さになるので、脱ぎ着できる服装でお出かけ下さい」などと解説できたらベターだったかもしれませんね。



ちなみに、電力マネジメント企業で気象予報士として勤務していたとき、このパターンを予見したときのこと。

今回同様、どこの天気予報サイトも気温は高めに予想してましたが、冷気層をブレイクできない場合は、かなり低めに大外しする可能性があることを電力需要予測作成者に伝えました。

高めの気温予想を信じて暖房需要を低めに見積もり、電力も少なめに調達する計画を立てたのに、予想が大外れして気温が低めに推移すれば、調達した電力では足りず大きなインバランスが発生→大きなインバランスコストが発生するからです。


このインバランスを最小限に抑えるため、気温が予想通りか大外しするか、どちらか一方に賭けたオペレーションをするのではなく、どっちに転んでもインバランスを出来るだけ抑えられるよう、中間的な需要予測を作成するようにアドバイスしました。


このエピソードように、気象の影響を大きく受ける事業に対し気象予報士がコストを最少化する働きができるシーンもあるため、今後『顧問気象予報士』というポジションのニーズを掘り起こしていければ思っています。



P.S.

南岸低気圧で関東で雪になるパターンも、この冷気層の形成が大きな影響を及ぼします。なので、関東の雪予想は難しいのです。


加藤芳樹•史葉

0回の閲覧

© 2019 Weather Data Science